寒さ厳しき中、平成24年も暮れて行きます。

本年最後のお話と身構えてしまい、走らせるペンが幾度となく止まり、明後日はもう大晦日。

そこで気負いをゆるめ、連日の寒さも和らぐような、心だけでもほっこりとあたたまるようなお話をさせて頂くことに致します。

知り合いの方からお聞き致しました、その方のつい先日の体験談です。

雨風の中、遅れそうな待ち合わせに、何とか間に合わせようと、近道らしき経路を自転車で走っておられて、橋があり渡って行くと向こう側は土地が低く階段になっており、スロープもありません。

引き返そうとも考えたそうですが、待ち合わせの時刻は迫っているし、自転車を抱えて降りることにされたそうです。

すると、後方から「一人では危ないですよ。私が後ろを持ちましょう。」と、見ず知らずの年格好の似た女性が言葉と同時に後ろ側を早や持っておられたそうです。

力を合わせたお陰で、スムーズに無事降りられ、お礼を言って、別の方向へと向かわれる後姿を見送ると、その親切な女性は足が悪いらしく、片方の足を引き摺るように歩いておられることに気づいたそうです。

長く続く急な階段を、自転車を持ち上げながら降りる・・どれ程注意深く頑張って降りられたのだろうかと、申し訳なさと有難さで、胸が熱くなりました。そのようなお話でした。

つけ加えて、更に言葉が続きました。先程のしみじみとした口調とは変わり、トーンも高く、「それにしても、男は駄目ですよね〜 20代位の男性も、中年の男性も、後ろにいたんですよ。二人ともか弱き女性二人の危なっかしい姿を見ながら、さっさと追い越して先に下りて行きましたよ。矢張り、か弱き女は女同士、男って本当に駄目ですよね〜! あっ!住職さんも男性でしたね。ごめんなさい!住職さんのことを言った訳ではありませんから〜」

いつもお元気で明るい笑顔のこのご婦人、なかなか面白い方で、お話のなかではご自身で「か弱き」と言ってはおられましたが、何ともたくましいお方です。(女性にたくましいは失礼やも知れませんが、あくまでも褒め言葉です)

平成25年、たくましい女性達が、日本を明るく元気にして下さることでしょう。

ふと、家内が思い浮かびました。家内もたくましいです。家事全般をこなし、當寺の雑務も一手に引き受けてくれて、娘も優しい良い娘に育て上げてくれて・・・

口下手の私は、これまで家内に「ありがとう」も言えてないかも知れません。私事で申し訳なく思いますが、ホームページのこの場を借りて、家内にひと言感謝を伝えたく思います。

「おかあさん、いつもありがとう。」

さて、檀信徒の皆様、ホームページを訪れて頂きました皆様、そして、今尚東日本大震災により、ご苦労をされておられる皆様・・どうか、お元気に良いお年になりますよう、心よりお祈り申し上げます。

何も出来ない微力の私ではございますが、皆様のお幸せをお祈り申し上げ、精進致してまいります。

合掌

2012年(平成24年) 12月吉日