春。櫻の季節。春季彼岸会も、例年通り多勢の檀家様にお参り頂き、結岸致しました。心よりお礼申し上げます。

さて、いつの頃からか定かではありませんが、男性も女性もお念珠のようなブレスレットをされているのを見かけます。

不思議に思い調べますと、それは「パワーストーンブレスレット」なるもので、言わばお守りのような役目を果たせるものらしいです。天然石で、それぞれに健康運・仕事運・家庭運・愛情運・・・要するに運気を上げるようなものだそうです。

そこで、少し感じることがあります。決してパワーストーンブレスレットを否定する訳ではありません。世の中には説明のつかない不思議なこと、少なからずあるものです。しかしながら、結局はご本人の心掛け、気持ちのあり様、精進などに依るもので、決してモノに頼って叶えられるのではないと感じるのです。

當寺でも、お札やお守りは、一月二十八日の初護摩供養にて、ご用意いたしておりますので、理に添わないと思われるやも知れませんが、お札やお守りも、そして、パワーストーンブレスレットなるものも、結局は、援護であってすべてではないのです。

前述の心掛け、気持ちのあり様、精進等・・・言い換えれば、感謝を持って前向きに生きると言うことに尽きると思うのです。その様な方々にこそお札もお守りも、パワーストーンブレスレットも、力を発揮してくれるのではあるまいか、そのように感じております。

勿論、當寺のお札やお守りは、手にする方々のご多幸を想い念じ、ひとつひとつ心を込めて祈願をさせて頂いたものです。それ故に、私は科学では解明出来ないことを決して否定する側の人間ではありません。人の切なる想いは必ずや、神仏に届くものと確信致しております。パワーストーンブレスレットを身につけておられる方を否定など致しません。

しかし、僭越ながら、ひと言申し上げるならば、どうかあらゆることに感謝を持ってお元気な気持ちで前向きに生きて頂きたい・・・そのように思うのです。

困難はたくさんあるものです。何も問題を抱えていない方、果たして存在するのでしょうか。私にも悩みはあります。しかし、年を重ねるごとに、様々なことに感謝が出来るようになり、苦しいこと、悲しいこと等を乗り越えられるようになりました。

人間として生を受けられたことにまず感謝をして、明るいあたたかな気持ちを持って心豊かに過ごしたいと思います。人と人とは支え合ってこそ人です。

パワーストーンブレスレットからお話が横道にそれてしまったかも知れません。ご容赦頂きますよう。

余談ではありますが、パワーストーンブレスレットも只、身につけるだけでは、ただのアクセサリーであって、石の力を引き出すには、私が申し上げたように、御自身の精進が第一で、石の力は矢張り後押し、そのようなことが専門書に記してありました。加えてこうもありました。信じること、大切にすること、そうでないと効果は薄らぐとのことです。

パワーストーンブレスレットを身につけておられる方も、そうでない方も、すべての皆様の御多幸をあらためて願って、本日の住職のお話終えさせて頂きます。やわらかな春の風が心地よい雨上がりの清々しさに包まれた今を生かさせて頂いております。

合掌

2013年(平成25年) 3月吉日